大判例

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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)2258号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(強姦致傷を認めなかつた理由)

検察官は、被告人は判示強姦行為の際に被害者甲女に対し加療約一週間を要する外陰部裂傷を負わせたと主張する。なるほど証人Kの当公判廷における供述によれば、医師である同人が犯行当日の午後七時頃同女を診察したところ、同女の右腟前庭部(外陰部)に長さ五ミリ幅三ミリ位の線条の裂創を認め、四、五日で治癒すると判断したことが認められ、右供述と証人甲女の当公判廷における供述によれば、右創傷は被告人の本件強姦行為の際に(おそらく手指でひつかいたことによつて)できたものと認められる。しかしながら右各供述によれば、右創傷は被害者甲において気がついていなかつたものであり、同医師は放置しておいても右の期間で治癒すると診断し何の手当も施さなかつたことが認められる(同女はその後川島医院に通院しているが検察事務官作成の「電話要旨」によればそれは性病の検査のためである。)右甲証人は三日位陰部が痛かつたと証言するが、腟の奥の方であつたといい、それが右創傷の痛みであるかは明らかでない。また面谷尚也作成の鑑定書によれば、被害者が当時着用していたパンテイに血液の付着が認められるが、右K医師の証言によると被害者の陰部には出血もしくは出血をきたしたあとの凝固物質は全然見られなかつたとされているので、本件強姦行為の際に出血したかどうかさえもはつきりせず、仮に出血があつたとしてもごく微量であつたと考えられる。以上の事実によれば、本件の裂創は被害を受けた本人も気づかず、格別の治療も受けないで四、五日のうちに自然に治癒したもので一般日常生活において看過される程度のきわめて軽微な損傷であつて、傷害の構成要件が予定している程度の被害者の生理機能に障害を生ぜしめたとも健康状態を不良に変更したともいいえないから、医学上の創傷とはいいうるとしても、刑法上の傷害にあたるものとは認め難い。従つて判示のように強姦のみを認定した次第である。(松浦秀寿 高沢嘉昭 清田賢)

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